診療チェックシート解説内容

1 肝疾患(移植適応の評価)


背景

 HIV とHCV の重複感染症例では、HCV 単独感染例よりも、肝硬変・肝不全への進行が早まることが知られている。また、血液凝固因子製剤による感染者は、幼少期からの感染であるため、比較的若年で肝硬変・肝不全に至ることが多い。HIV とHCV 重複感染状態は、日本脳死肝移植適応評価委員会から医学的緊急度のランクアップを受けており、肝硬変・肝不全の根治的な治療として、肝移植を積極的に考慮すべきである。ddI などの古い抗HIV 薬の内服により、肝硬変がなくても門脈圧が亢進していることもあり、門脈血栓や食道静脈瘤の発生に注意が必要である。

検査

 身体所見、凝固能、生化学検査から、Child-Pugh スコアを算出する(表1)。AFP・PIVKA-Ⅱ などの腫瘍マーカーや腹部エコー・腹部造影CT などの画像検査にて肝腫瘍や門脈血栓の有無、上部消化管内視鏡検査にて食道静脈瘤の有無を判定する。

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対応

 Child B 以上(7 点以上)であれば、肝移植の可能性を考慮して専門医に紹介する。Child A であっても、門脈血栓や食道静脈瘤のある場合には肝移植を考慮して専門医に紹介する(図1)。
 血液型が一致または適合した20-65 歳の健康な家族が三親等以内にいれば、生体肝移植のドナーになれる可能性がある。生体肝移植、脳死肝移植のいずれの場合も、退院後すぐの通院は頻回のため、遠方からの紹介となる場合は、移植実施施設に通院しやすい環境に住居を探すことを検討する。
 脳死肝移植の場合、待機場所はできる限り登録施設に近い場所を検討する。移植後、免疫抑制剤や抗HCV 治療が必要となる。 これらの薬剤との相互作用を回避するために抗HIV 療法の変更を検討する際には、今までの薬剤耐性検査や治療の失敗歴を十分に考慮する(「10免疫不全」の項を参照)。

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2 心疾患


背景

 HIV 感染により心血管障害のリスクが増加する。また抗HIV薬の中には脂質代謝異常といった動脈硬化に関する副作用を有するものもあり、HIV 感染者に対しては心血管障害(動脈硬化)に対する注意が必要である。

 特に血液凝固因子製剤によるHIV 感染被害者の多くは血友病性関節障害を有するため強い運動負荷がかかりにくく、通常虚血性心疾患に行われる運動負荷検査(運動負荷心電図、運動負荷心筋シンチ)は運動不可能、もしくは運動負荷不十分のため判定困難な場合があり、虚血性心疾患があったとしても典型的な症状が出ない場合があるため、特別な注意が必要である。

検査

 健康管理に対する本人の自覚を促すためにも、受診ごとの血圧測定を行う。可能であれば自宅血圧測定を行えればなおよい。
 心血管危険因子(注1)が多い場合は胸痛などの典型的な胸部症状がなくとも冠動脈CT を施行しておく。定期検診を目的として心電図を行うほか、動脈硬化症のチェックのためPWV/ABI を行う。

注1:心血管危険因子:高齢(65 歳以上)、肥満、心血管病の家族歴、喫煙、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、非心原性脳梗塞、冠動脈疾患、慢性腎臓病、動脈硬化性末梢動脈疾患、動脈硬化性眼底異常

対応

 高血圧を有する場合は生活習慣の改善や降圧薬の投与を行う。降圧薬の中には抗HIV 薬との薬物相互作用を有するものがあるため注意が必要である。心電図は虚血性心疾患のほか、不整脈などのスクリーニング目的であり異常があれば循環器専門医に相談されたい。不整脈の場合も抗HIV 薬との薬物相互作用を有する抗不整脈薬があり注意を要する。
 冠動脈CT 検査で冠動脈に狭窄が疑われた場合には循環器専門医に相談し冠動脈造影検査を施行する。虚血性心疾患の治療には抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル)を用いることが多く、投与開始となった場合は出血などの副作用防止のため血液凝固因子製剤の厳密な定期輸注が必要となる。PWV/ABIにて動脈硬化が判明した場合進展予防のため血圧、脂質代謝の管理を厳密に行い、生活習慣改善を指導する。

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3 腎疾患


背景

 血液凝固因子製剤によるHIV 感染被害者の多くは、d4T やddI などのd- ドラッグの長期投与を受けており、リポアトロフィーのため痩せている患者が多い。一方、テノホビル(TDF)はAZT 耐性HIV などに比較的有効であるため、古くからの治療歴を持つ感染者に投与されることが多いが、腎障害に注意が必要である。腎障害の発生頻度は、低体重であるほどリスクが高く、60kg 未満ではABC に比較し約3 倍のハザード比である(図1)。

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 また、アタザナビル(ATV)は、尿中に排泄されて腎結石を作りやすく、それに伴って腎障害を生じる。ATV のその他のプロテアーゼ阻害薬(PI)に対する腎結石のハザード比は約10倍である(図2)。

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検査

 血清クレアチニン値の測定、それに基づくGFR の計算、尿検査を定期的に行う。TDF 腎障害は糸球体障害よりも尿細管障害が先行して出現することが多いので、TDF 投与症例では尿中b2 マイクログロブリンなどの尿細管障害に特異的なマーカーも定期的に測定するとよい。

対応

 腎機能の悪化が疑われる場合には、TDF やATV などの腎障害をもたらす薬剤の変更を考慮する。TDF 投与中の尿中b2 マイクログロブリンに関しては、3,000mg/L を超えたら要注意、10,000mg/L を超えたらTDF の変更を考慮する。ATV 投与中に腎結石を発症した症例は他剤に変更すべきである。
 ACC では、ATV 投与中に腎結石を生じた31 人のうち18 人でATV を継続投与したところ、6 人で腎結石が再発している。
 ATV 腎結石発生には何らかの遺伝的な背景の関与が考えられ、再発率が高い。抗HIV 薬による腎障害以外にも、高血圧性腎症、糖尿病性腎症などの場合もあり、それぞれ、血圧や血糖のコントロールが必要である。


4 耐糖能異常・高脂血症


背景

抗HIV 薬の進歩によりHIV 感染者の予後は改善され、今後はHIV 感染者も高齢化すると予想されるが、高齢化に伴い糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の増加もまた懸念される。HIV感染により心血管障害のリスクが増加すると考えられるため、心血管障害の危険因子である脂質異常症、糖尿病の管理もまた大切である。また抗HIV 薬の中には脂質代謝異常などの副作用を有するものもあり注意が必要である。

検査

血糖(FBS, HbA1c)、脂質(TC, HDL, LDL, TG)を空腹時(10-12時間の絶食)に採血を行い測定する。LDL を求めるのに用いられるFriedewald 式はTG が高値(>400mg/dL)の場合は誤差が大きい。このため抗HIV 薬の副作用による脂質異常症がありTG が高値の場合はLDL を実測するか、non-HDL コレステロール(non-HDL=TC-HDL)にて判断する(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012 ではLDL の実測ではなくnon-HDL を推奨している)。
 これらに罹患していない場合は健康管理を目的として年2 回程度でよいが、すでに罹患している場合は受診ごとに測定する。

対応

 脂質異常症を有する場合は食事および運動療法のほか、脂質異常症薬の投与を行うことがある。脂質異常症薬には抗HIV 薬との相互作用を有するものが多く投与の際には注意が必要である。また、プロテアーゼ阻害薬やエファビレンツの副作用による脂質異常もあり抗HIV 薬の変更も効果的だが、血液凝固因子製剤によるHIV 感染被害者の多くは多数の薬剤耐性変異が生じてしまっていることがあるため薬剤耐性変異に基づいた抗HIV薬の選択を優先されたい。
 糖尿病の場合も食事および運動療法のほか、経口血糖降下薬やインスリンの投与を行うことがある。プロテアーゼ阻害薬にはインスリン抵抗性を惹起させるものもあり、抗HIV 薬変更も対策の一つとなりうる。
 これらに罹患していない場合でも生活習慣改善を指導し、生活習慣病予防を実践して頂くことが大切である。

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5 骨疾患


背景

 HIV 感染者における骨粗しょう症の有病率は非感染者の3 倍にのぼり、抗HIV 薬(テノホビルやプロテアーゼ阻害薬)やHIV による慢性感染状態、日和見感染治療に伴うステロイド投与など複合的な要因が関与している。一方、血友病も足関節や膝関節など荷重関節の出血をきたしやすいため、骨密度低下のリスクが高い。
 当院の調査では、HIV 感染血友病患者の23%が大腿骨頸部で骨粗鬆症を呈しており、転倒など軽微な外傷で容易に骨折する患者が散見される。血友病患者の高齢化に伴い、骨粗鬆症の予防が課題になっている。

検査

 腰椎と大腿骨頸部の2 ヶ所でdual-energy absorptiometry (DXA) を実施する。股関節に関節症がある場合は、健常側を測定する。T-score が-2.5 以下の場合は年に1 回、プロテアーゼ阻害薬を使用している場合は2 年に1 回、それ以外は数年に1 回検査を行う。
 テノホビルを使用している場合は、血清Cre, Ca, P, ALP, および尿中Cre, IP を6 ヶ月に1 回測定する。

対応

 DXA の結果、T-score が-2.5 未満の場合は原因を精査する。腰椎は肝硬変の進行やプロテアーゼ阻害薬といった全身性の要因、大腿骨頸部の場合は体重や安静など荷重要因が関与している傾向がある。腰椎が悪い場合は、プロテアーゼ阻害薬の中止を検討するが、薬剤耐性変異との関係上、慎重に検討する必要がある。
 大腿骨頸部が悪い場合は、製剤の定期輸注やサポーター使用により関節症性疼痛の軽減を図り、運動量を増やすようにする。ビタミンD やカルシウムの補充は補助療法として有効である。
 HIV 感染者におけるビスフォスフォネート製剤の長期的安全性は十分に確立していないが、比較的高齢の血友病患者においては使用が検討されてもよいと思われる。


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6 血友病性関節症


背景

 血友病患者では関節や筋肉に出血を繰り返すことが多く、関節に深刻な慢性障害が発生しやすい。出血を起こしやすい関節は肘、膝、足首、股関節であり、当院通院中の成人血友病患者のそれぞれ約50%、30%、80%、7%が中等度以上の慢性関節症を有している。いったん関節に出血すると、同じ関節に出血しやすくなり、骨や軟骨の傷害が進行する。
 また、疼痛や止血治療のために安静・不使用を繰り返す結果、支持筋肉の廃用性萎縮や関節拘縮が起こる。こうして関節症が進行した結果、歩行・起居・日常動作すべてに支障が出て、自立した生活が困難になり、慢性的な疼痛に悩まされる患者が少なくない。血友病性関節症は、血友病患者から自立した生活を奪う最大の脅威といってよい。

検査

 診察では、両肘、両膝、両足関節、両股関節、両肩関節の可動域を年に1 回チェックする。これらの関節のX 線写真を数年に1 回撮影し、場合によっては両肩関節を追加する。特定の関節に出血が多い場合は、当該関節の両側を年1 回撮影する。 下肢関節(膝、足首、股関節)に出血を繰り返している場合は、大腿周囲径や歩行のバランスを確認する。慢性滑膜炎の評価にはMRI 撮影が有用である。

対応

 関節出血を繰り返している場合、血液製剤の定期輸注ができているか、出血時の製剤補充は十分か、仕事や生活のなかで特定の関節に負担のかかる作業がないかチェックする。
 定期輸注は血友病A なら週2-3 回、血友病B なら週1-2 回が通常だが、出血回数に応じて適宜増減する。仕事などでリスク作業を減らすことが困難な場合は、医療用サポーターを処方して関節の負担を軽減する。筋力萎縮・筋力低下が認められる場合は、筋力トレーニングを指導し、歩行バランスが崩れている場合は歩行トレーニングや靴の調整を行う。

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7 歩行とADL


背景

血液凝固因子製剤によるHIV 感染被害者の多くは、若いころには製剤が普及しておらず、関節内出血の反復などから、いくつかの関節が拘縮したり、可動域が狭くなっていたりすることがある。
 また、スポーツなどを奨励する時代より前の世代なので、筋力も発達していないことが多い。若いころは、それでもなんとか歩行や日常生活を送っていても、加齢とともに、無理が生じたり、加齢に伴う筋力低下により歩行障害が顕在化したりする。
 また、仕事での負担、育児での負担、同居の親の高齢化で、家事や介護を余儀なくされたり、など、生活も変化して負荷がかかることもある。

検査

上半身では、肘の関節障害が多いので、肘が痛いことはないか? 肘が曲がらなくて困ることはないかを確認する(携帯電話の同側耳での使用・洗顔など)。体幹では、腰痛の出現はないかを確認する。下半身では、生活や仕事、外出で、膝や足関節が痛いことはないか、訊く。また、数メートル歩行してもらい、下肢の機能的脚長差により一歩ごとに傾いて歩いていないかどうか、観察する。また、靴下を履く・足の爪を切る動作ができているかどうかを訊く。
 以上の数点を確認すると、その他のトラブルについても、本人から申告があることがある。これらの障害は、「以前から」という返事の場合もあるし、「最近悪化している」との返事の場合もある。後者の場合には、「ちゃんと予防的に製剤を使っているか」をまず訊く。往々にして使用量が少ない。

対応

製剤の予防的使用が少ない場合には、説得して使用を促す。
 製剤の使用があっても、上記のようなトラブルがある場合、著明な関節破壊があれば手術の適応となる。それ以外の場合には、(1)装具や靴の補高の適応の判断、(2)身体の動かし方の指導・自助具の紹介、(3)筋トレやストレッチ指導 を、リハビリテーション科(理学療法士)に依頼する。リハビリテーション科のスタッフが、血友病について経験がなくて困るようであれば、本研究班の作成した、PT・OT のためのハンドブックを参照されたい。

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8 認知機能障害


背景

血液凝固因子製剤によるHIV 感染被害者の多くは、HIV 感染を含め様々な原因から認知機能障害を呈することがある。アルツハイマー病と診断された場合には、早期に治療を開始することで、認知機能障害の進行を遅らせることができる。
認知機能障害においては、認知機能障害のみならず身体疾患の治療が困難となる可能性があるためケアギバーの役割も重要である。

検査

 認知症の診断には、通常臨床症状のスクリーニング検査(長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、MMSE(Mini-Mental State Examination))に加え、頭部CT、頭部MRI、SPECT などの画像検査が有用である。認知症チェックリスト(表1)を参照。認知機能障害の有無を確認するため、少なくとも1 年毎にスクリーニング検査を行い、チェックすることが重要である。
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対応

1)告知
確定が難しく本人に診断を告知しない方が良い場合、家族に十分説明をする必要がある。
2)薬物療法
(1)中核症状の治療
 (例) アルツハイマー型認知症治療薬(表2)
   注意:アルツハイマー病では、「アセチルコリン量を増やす作用」「シグナルの伝達増加作用」を持った薬物であるドネペジル(商品名:アリセプト)、リバスチグミン(商品名:イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)、ガランタミン(商品名:レミニール)と、「正常なシグナルのみを伝える作用」を持った薬物であるメマンチン(商品名:メマリー)があり重症度や症状に応じて使用する。
(2)周辺症状を改善する治療
これには専門医の判断を必要とすることがある。
 (例) 抗精神病薬、睡眠導入剤、抗うつ薬、漢方薬

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9 抑うつ


背景

 血液凝固因子製剤によるHIV 感染被害者の多くは、抑うつや不安を抱える。HIV 感染被害者においては、心理的ストレスに加え、身体的問題(HIV 感染、肝機能障害、血友病等)、薬物療法の影響、社会的偏見などによる原因が考えられる。うつ病では、本来の身体疾患治療にも障害となるほか、自殺との関連が強いため、うつ病と診断された場合には、速やかな治療が望まれる。抗うつ薬の導入にあたっては、身体疾患や薬剤の相互作用等の問題があり、注意が必要である。

検査

うつ病の診断は、臨床症状から判断する。抑うつチェックリスト(表1)を参照。特に、自殺に関する考えがあるか否かについては、確認することが重要である。抑うつの有無を確認するため、少なくとも1 年毎にはスクリーニング検査を行い、気になる場合には適宜チェックすることが重要である。

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対応

1)告知:最近は「うつ病」について随分認知されてきたが、本人の状態に応じて「気分がおちこんでいる状態」、「うつ状態になっている」などと表現した方が良い場合もある。
2)薬物療法:抗うつ薬の使い方:SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)の副作用では、初期に頭痛、下痢、嘔気などがみられる。また服薬開始時にはセロトニン症候群、減量や中止時には退薬症候群による不安焦燥の増強が観察されることがある。
 (1)用量:一般的な注意点として大量投与は避ける。
 (2)用法:原則通り、漸増法、漸減法で行うこと。
 (3)投与初期(1-2 週間)および増量あるいは変更時にはよりきめの細かな観察(通院間隔を短くするなど)を行うことは当然であるが、この時期に限らず、投与前に比して、焦燥感、激越、イライラ感、攻撃的態度などが見られる場合には、投与の継続の可否や鎮静作用のある薬剤の併用などを含め再検討する。
3)自殺:本人に死にたい気持ちの有無を確認し、治療同盟構築のために「決して死なない」という約束をすることが、自殺の大きな歯止めとなる。
4)専門医への紹介:本人・家族の心情を十分理解しながら、必要時には専門医へ紹介する(表2)。

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10 免疫不全


背景

血液凝固因子製剤によるHIV 感染被害者の多くは、多剤併用療法(ART)が始まる以前の不完全な治療(核酸系逆転写酵素阻害薬の単剤療法あるいは2 剤併用療法)や、継続困難な初期のART を長期にわたって経験している。
その際にHIV 量の抑制が不完全であったため、多数の薬剤耐性変異が生じてしまっていることが多い。治療薬の変更・再導入にあたっては、特別な注意が必要である。

検査

抗HIV 療法施行中であれば、その効果が継続していることを確認するため、少なくとも3-6 ヶ月毎にCD4 数とHIV 量を測定すべきである。
HIV 量が検出限界以下にコントロールされていない場合は、服薬のアドヒアランスを確認し、HIV の薬剤耐性検査を考慮する。

対応

治療薬の変更は、過去の服薬歴・過去および現在の薬剤耐性検査の結果を考慮し、慎重に行う。通常のガイドラインなどで推奨されている組み合わせでは、HIV 量の抑制が困難な場合が多い。
不完全な治療の継続は、更なる薬剤耐性変異の出現を招くため、より一層治療が困難となる。血液凝固因子製剤によるHIV感染被害者では、核酸系逆転写酵素阻害薬に対する耐性変異が多数蓄積していることが多く、このような症例に対しては、ジェネティックバリアの高いプロテアーゼ阻害薬をキードラッグとして用いたり、キードラッグを複数用いたりするなどの工夫が必要となる。
特に、HIV 量の抑制効果が良好な状態にある治療を、有害事象の回避や予防のためにジェネティックバリアの低い治療薬に変更する場合には、治療そのものの失敗につながらないように注意を要する。

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