国立研究開発法人 国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター

血友病に対する治療

2018年8月13日

救済医療室では、患者さんの治療にあたりリハビリテーション医と整形外科医と連携し、血友病関節症について包括的なケア行っています。また、必要な運動・訓練、装具、凝固因子製剤の定期輸注療法、手術等について助言・提案を行っています。

定期補充療法に関する相談

血友病に対する治療

血友病の患者さんは第Ⅷ因子や第Ⅸ因子が不足しているため、血液製剤で凝固因子を補充しなければなりません。以前は出血したら補充(出血時補充)していましたが、最近は出血の有無とは関係なく定期的に輸注(定期補充)して、出血を予防していくのが主流となっています。

定期補充療法の基本的な投与方法は、患者さんの状態・処方されている製剤によっても異なりますが、血友病Aなら1回20-50単位/kgを週3回、血友病Bなら40-80単位/kg(遺伝子組換製剤)を週2回で、出血回数によって適宜調整します。今では大半の方が定期輸注を自分なりのペースで行っており、反復出血に悩む人は少なくなりました。また、少ない回数で定期輸注を行える長時間作用型製剤に関するご相談も増えています。

関節症診療

血友病包括外来では、

  • ①出血回数・輸注記録の確認
  • ②診察(関節可動域や腫脹や疼痛、歩行状態のチェック)
  • ③関節レントゲン

などを行い、関節状態を丁寧に評価致します。

痛みが出血によるものか関節症によるものか判断することで、血液製剤使用方法の見直しや、日常生活指導、装具・サポーター作成など、適切な治療に結びつけていくことができます。

関節のスペシャリストの協力

救済医療室では院内の整形外科の協力に加え、東京大学医科学研究所附属病院より竹谷英之先生をお招きし、外科的治療に関する相談を行っております。

血友病に対する治療

リハビリテーション科では、筋力低下、関節機能低下、歩行や日常生活の不便への支援が行われています。手術になるケースでは術前術後のリハビリテーション、手術にならないケースでは、筋力の安全なトレーニング方法、関節保護の方法、サポーター、靴の加工など、様々なご相談への対応を行っております。さらに、厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業「非加熱血液凝固因子製剤によるHIV感染血友病等患者の長期療養体制の構築に関する患者参加型研究」事業では、はばたき福祉事業団と協力して運動器検診会を例年開催し、運動機能低下の予防のため、運動機能の測定や療養上役に立つ情報の提供を行っています。また、ブロック拠点病院に対し、はばたき福祉事業団と協力して、運動機能低下予防をテーマとしたリハビリ勉強会や検診会開催時のお手伝いをしています。

ご自分で靴下が履きにくい方、足の爪を切ることが大変な方向けに、自助具(じじょぐ)の紹介動画を掲載しています。ご参考になれば幸いです。

自助具の紹介動画はこちらからご確認ください