肝移植相談窓口
2021年8月18日
肝移植を検討されている医療者の皆様へ
1980年代に発生したいわゆる「薬害エイズ」の患者さんの多くが、HIVのみならずHCVにも重複感染していることが以前より報告されています。救済医療室では、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科移植・消化器外科教授の江口 晋先生が研究代表を務める「血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者の肝移植に関する研究」班の協力を得て、肝移植相談窓口を設置し、医療関係者からの移植に関するご相談を受け付けています。
肝移植を検討されている医療者の皆様におかれましては、肝移植についての情報、評価などをご希望の際には下記メールアドレス宛に医療情報と共にご一報ください。基本的にメールでのご相談を承っています。

最初の文字は小文字のエル(l)です
「血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植を含めた外科治療に関する研究班」
前述の研究班を引き継ぎ、令和3年度より新たに開始された「血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植を含めた外科治療に関する研究」班では、全国のHIV/HCV重複感染患者さんに対する肝移植の適応評価、脳死肝移植登録、脳死ランクアップポイントの妥当性検証、肝移植手術の支援、肝移植ガイドラインの改訂を計画しています。また、昨年からのコロナ禍で患者さんの受診頻度が低下していることを踏まえ、各ブロック拠点病院との連携・オンライン面談の推進に尽力されています。
肝臓の硬さはAST、ALT、血小板数、年齢より算出されます。数値の高い方は肝臓が硬く、肝硬変である可能性があります。同研究班では、肝臓の硬さの判別式(FIB-4)を用いて、患者さんがご自分で肝臓の硬さをチェックできるサイト(名称:FIB-4 index)を作成、管理されています。
近年、患者さんの高齢化に伴い、悪性腫瘍の頻度が増加してきています。血液製剤によってHIV/HCVに重複感染した患者さんは、非感染者に比べて抗腫瘍免疫が十分に働かないことが想定され、治療後の成績は非感染者より悪くなっています。また実際の治療においても、血友病が存在するために積極的な治療が控えられたり、手術の際に切除範囲が狭められたりすることが報告されています。
「血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植を含めた外科治療に関する研究」班では、患者さんが抱える外科的疾患に関する診察・治療ガイドラインの作成を予定しています。