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救済医療室⻑のごあいさつ

更新日:2022年4月4日

救済医療室長
救済医療室長 田沼 順子

 令和4年4月1日付で救済医療室長を拝命しました田沼順子です。全ての被害者に心より敬意を表するとともに、日頃、我々の薬害エイズ被害者救済医療の活動にご支援頂いております皆様に深く感謝申し上げます。

 1996年の薬害エイズ訴訟の和解、そして1997年のエイズ治療・研究開発センター設立から四半世紀が経過しました。この間、医学上の進歩は目覚ましいものがあります。抗HIV療法はより安全性が高く服薬しやすい薬が増え、C型肝炎ウイルスの排除も可能となりました。血友病の治療においても長期作用型の薬で定期補充療法の普及が加速し、更なる生活の質向上が謳われるようになりました。また、薬害エイズ訴訟とその後の一連の協議は、全国のHIV診療体制の整備を実現するのみならず、密室あるいは患者不在の医療方針決定のあり方に一石を投じ、チーム医療、セカンドオピニオン、そして患者参加型医療の理念の普及に大きく貢献してきました。

 しかし肝癌をはじめとする悪性疾患、生活習慣病や関節症の進行、そして療養環境の確保など、懸念すべき課題が多数残されているほか、患者参加型医療の実現度には、まだ地域や施設ごとの格差があるのが実情です。薬害エイズ被害者救済にまだ一層の工夫と努力が必要です。

 1980年代に世界的な流行が始まって以来、HIV感染症は医療を取り巻く広範囲の問題を浮き彫りにしてきました。被害者が直面している課題は、同時に日本の現在の医療にとっても重要な課題です。薬害エイズ訴訟和解から四半世紀を経て、当時の議論が風化しているのではないかという声がきかれるようになりました。しかし、薬害エイズ被害者の救済の歴史を振り返り、残された課題に取り組むことは、未来のより良い日本の医療のために普遍的な学びをもたらしてくれます。薬害エイズの教訓を決して風化させず、未来につなげることが大切です。

 被害者の皆様に寄り添いながら、多くの皆様とともに薬害エイズ被害者救済に取り組んでまいります。

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