救済医療室長 上村 悠
令和6年4月1日より救済医療室長を拝命しました上村悠です。全ての被害者とご家族、ご遺族に心より敬意を表します。また、私たちの薬害エイズ被害者救済医療の活動にご支援を頂いております皆様に深く感謝を申し上げます。
1996年の薬害エイズ訴訟の和解、そして1997年のエイズ治療・研究開発センター設立から四半世紀が経過しました。この間、医学上の進歩は目覚ましいものがあります。抗HIV療法はより高いウイルス抑制効果を得られる様になりました。血友病の治療については、長期作用型の薬の登場により定期補充療法の普及が加速し、近年では皮下注射による治療も開発され、治療の選択肢が広がっています。C型肝炎は、新たに開発された直接作用型抗ウイルス薬により、高い確率で治癒することが可能となりました。
医学は進歩をしている一方で、新たな課題もでてきました。高齢化に伴い生活習慣病や悪性疾患のリスクが増えています。肝硬変の方などでは、C型肝炎ウイルスの排除後であっても、肝癌を発症するリスクは残り、注意が必要です。血友病については、関節症の進行、そして療養環境の確保など、懸念すべき課題が多数残されています。薬害被害者が直面している課題は、同時に日本の医療にとっても重要な課題となります。私たちは、今この時代に直面する課題について正しい情報を収集し、どの様に対処するべきかを検討し、発信をします。
全ての皆様が最良の医療を受け、安心安全な生活を送るために、当事者である皆様の声を大切に、全国の医療者・関係者と共に患者参加型医療、薬害エイズ被害者救済に取り組んでまいります。お力添え頂けますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。