肝移植相談窓口
腎不全などの基礎疾患、肝臓の状態、HCVの薬剤耐性など様々な要因により、新しい治療薬を使用することが適切でない場合があります。肝不全に至った場合の治療の選択肢として、肝移植があります。かつて日本では生体肝移植(生きた方から肝臓の一部の提供を受ける)が主流でしたが、 脳死肝移植(脳死状態となった善意の第三者から肝臓の提供を受ける)の累積件数も徐々に増加しています。
強力な抗HIV療法が行えるようになる前の時代、HIV感染者に対する臓器移植は禁忌(治療成績が悪いため行うべきではない)とされていました。しかし現在では、HIV感染症が良好にコントロールされている場合には、必ずしも禁忌とは考えられていません。日本でも、血友病薬害被害者に対する肝移植が2001年以降これまで10件以上行われています。
肝移植が選択肢となるかどうかの判断には、肝臓の状態以外に、全身状態が肝移植に耐えられるか、移植後にHIV感染症やC型肝炎をきちんとコントロールできる見込みがあるかなど、様々な観点からの検討が必要です。生体肝移植の場合には、肝臓(の一部)の提供を希望する方の安全も最優先事項です。手術を成功させるためには、移植外科医と血友病の専門家との緊密な連携が欠かせません。
肝移植は大手術であり、また術後は免疫抑制剤内服を継続しなければならないなど、必ずしもすべての患者さんにとって最善の治療となるわけではありません。しかし、条件を満たす場合には有力な選択肢のひとつとなる可能性があります。ご相談を希望の患者さんは、担当医を通じて肝移植相談窓口あてにご連絡ください。
血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する外科治療の標準化に関する研究班
令和3-5年度の「血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する外科治療の標準化に関する研究」班では、全国のHIV/HCV重複感染患者さんに対する肝移植の適応評価、脳死肝移植登録、脳死ランクアップポイントの妥当性検証、肝移植手術の支援に加えて外科診療ガイドライン(血友病・HIV/HCV 重複感染患者に対する外科診療ガイド 2024:PDF8.65MB)を発刊しました。各ブロック拠点病院との連携・オンライン面談の推進に尽力されています。
肝臓の硬さはAST、ALT、血小板数、年齢より算出されます。数値の高い方は肝臓が硬く、肝硬変である可能性があります。同研究班では、肝臓の硬さの判別式(FIB-4)を用いて、患者さんがご自分で肝臓の硬さをチェックできるウェブサイト(名称:FIB-4 index計算サイト)を運営されています。(FIB-4 indexのご案内:PDF1.794KB)