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お知らせ

HIV感染者の新型コロナワクチン接種の考え方

エイズ治療・研究開発センター長 岡 慎一


 今流行が拡大している新型コロナウイルスは、オミクロン型といわれているものです。オミクロン型は非常に感染力が強いですが、重症化する人は、高齢者や基礎疾患のある人に限定されているようです。もちろん、HIV感染者はワクチンを接種し、流行に備えておいた方が良いです。

 オミクロン型のウイルスは、今までの型(デルタ型など)に対する免疫から逃れて進化したウイルスで、ワクチンの効果は限定的と考えられています。疫学データでは接種後2-3ヶ月程度は感染予防効果がありますが、4ヶ月も経つと感染予防効果は著しく低下します。一方、3回以上接種した人では、6ヶ月以上にわたり重症阻止効果のある事が示されています。また、免疫学的には、ワクチンの効果を最大限に上げるためには、3回目以降の複数回接種の場合、前回の接種から4-5ヶ月程度は開けた方が良いと考えられています。
 参照:https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0011.html

 現在第7波を形成しているのは、オミクロン型の中でも更に進化したBA5というウイルスです。最近感染者が増えていますが、おそらく人流増加に伴うもので、第7波の名残と考えられます。第8波は、オミクロン型の中から更に進化したXBB型(おそらくこちら)、もしくはBQ1.1.型が主流になると推定されています。これらのウイルスは、BA5型より更に感染力が強く第8波が始まったときには、感染者数は第7波以上になると推定されます。幸いこれらのウイルスもオミクロンの派生型であるため、重症化率は、オミクロンのBA5型と変わらないようです。
 参照:https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/11660-covid19-ab108th.html

 この様な背景の中、新型コロナワクチンに関する質問が寄せられたため、以下のとおり私の見解を共有します。


1.5回目のワクチン接種券が届きました。4回目を8月頃に打ちましたが、5回目をどうしたら良いでしょうか?
 4回目から4ヶ月も経つと重症化阻止効果は残っていますが、感染予防効果は無くなっていると考えた方が良いでしょう。すなわち、4回目接種から4-5ヶ月以上の人は5回目を打った方が良いということになります。したがって、8月に打った人は12月に打つのが良いということになります。おそらく、第8波は、年末頃の12月中旬以降(予測です)だと推定されていますので、それまでに打つのが良いように思います。

2.10月に感染しましたが、今後もワクチンは必要でしょうか?
 感染も免疫的にはワクチンと同じと考えて良いと思います。したがって、感染から4-5ヶ月以上経つ人は、ワクチンを打った方が良いと思います。10月にかかった人であれば2月以降が適切な接種時期ということになります。

3.BA2と従来型の2価(2種類のワクチンが入ったもの)とBA5と従来型の2価の2種類があるようですが、どちらが良いのでしょうか?
 今後出てくる第8波のXBB型のウイルスもBQ1.1型のウイルスもBA2やBA5に対する免疫からの逃避ウイルスです。ですので、第8波の場合、従来型のワクチンを打っていたオミクロンBA5型の時の効果とほぼ同じと考えられます。どちらかの方が効果が高いということは無いと考えられますので、どちらでも結構です。

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